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<テレキャスターというエレキ・ギター #1>

現在数多くのエレキ・ギターが販売されているわけですが、フェンダー社のテレキャスターは、それまでの厚い空洞ボディーを持ったギターの概念を打ち破る、薄いソリッド・ボディーで大量製産・販売され成功した初めてのギターです。
詳しくはテレキャスターWikipediaなどでわかりますが、ここではこのギターに関する僕の想いを書きたいと思います。

初めてテレキャスターのシェイプ(形)を意識したのは、60年代に見たアメリカのカントリー・ギタリストであるジミー・ブライアントのLP、『2 Guitar COUNTRY STYLE』のジャケットでしょう。
そしてまだ時代的にエフェクターなどなくて、直接アンプにつないで出ているプレーンなテレキャスターのサウンドも、耳の記憶に残りました。

また、やはり60年代半ばによくFEN(米軍のラジオ放送FAR EAST NETWORK)でかかっていたカントリー・アーティスト、バック・オーエンスのバンドのリード・ギタリストであるドン・リッチもギンギンのテレキャス・サウンドでしたが、実はもっと前からそれがテレキャスターの音とは知らずに、大好きになっていた曲があったのです。

それは僕が中学生だった1958年に大ヒットした、リッキー・ネルソンの『ハロー・メリー・ルー』です。ボーカルも大好きでしたが、ラテンっぽいカウベルが鳴り響き、カッコ良いエレキの音が鳴り続ける全体のサウンド、キレの良いギターの間奏が僕の心を捕らえていました。

まだエレキ・ギターという用語さえその頃は知らず、ましてそのギターがフェンダーのテレキャスターで、弾いていたギタリストの名前がジェームス・バートンだなどと言う事は、1970年に映画『エルヴィス・オン・ステージ』にしびれて、そのエルヴィスのバック・ギタリストを調べて初めて知りました。

‘66年からは一応プロのギタリストとして、ヴィレッジ・シンガーズでデビューしていたのですが、今思えばまだギターに対する自分のイメージが定まっていなかったのですね。それからはジェームス・バートン、テレキャスターという二つの名前を、脇目もふらずに追いかけるようになりました。

しかしその後5本のテレキャスターを持ち、ジェームス・バートンとは彼が来日する度にステージで一緒に演奏するようになるなどとは、当時は夢にも思いませんでした。こう書くと大変自慢のように見えるでしょうが、もちろん大自慢ですよ!!

70年前後からロックンロールはロックとなり、エレキ・ギターの音は歪んでいるのが当たり前になりました。また最近はエフェクターが発達して、元々のエレキの原音はあまり重要視されなくなっています。
しかし本当に僕は、テレキャスター自体の生音が大好きなのです。

もちろん自分でも幾つかのエフェクターをセットした、エフェクト・ボードを足下に置いて演奏していますが、実際に使うのは生音の感じがそこなわれないように軽いディレイ・エコーぐらいで、あとは演奏する曲調によってディレイをカットしてトレモロを使うなど、ジェームス・バートンのエフェクターの使い方を真似して、殆ど一度に一つのエフェクター使用なのです。

多くのギタリストが、テレキャスターは大変シビアな楽器だと言っています。
歪ませて幾つかのエフェクターを使用すると、もうそれはテレキャスターを使う必要のないサウンドになってしまいます。
如何にテレキャス自体の音を弾きこなすかが、重要な課題なのです。



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