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<テレキャスターというエレキ・ギター #2>

僕はテレキャスターのシェイプ、形が大好きです。
まな板を曲線で切り取ったようなボディー、必要最小限の大きさで、やはり魅力のある曲線を持ったヘッド、すべて1950年にその前身であるエスクワイアという名前でフェンダーのカタログに載った時のまま、現在に至っています。

エスクワイアはワン・ピックアップ(マイク)でしたが、その後同じシェイプにツー・ピックアップのブロードキャスターが発表されます。しかしグレッチ社からスペル違いで同じ発音の、『ブロードキャスター』というネーミングでドラムセットが既に販売されていたため、やむを得ずテレキャスターという名前に変更となりました。

’54年に発売されたストラトキャスターは、ボディーのお腹に当たる部分が削られて角が当たらないようになっていますが、テレキャスターのボディーの角がお腹に当たって痛いなどと感じたこともなければ、聞いたこともありません。
音を出すのに必要最小限という意味では、棒ッ切れのようなデザインのエレキもありますが、持った時のバランスや見た目の柔らかい曲線の持つセクシーさにおいては、テレキャスターのシェイプが本当の必要最小限だと僕は思っていますが、惚れた弱みのえこひいきでしょうか?

インターネットでテレキャスターを検索すると、いくつかのサイトが見られますが、中にテレキャスターを逆説的ではありますが非常にかっこ悪いギターとまず決めて、それでもなお愛好する人を確信犯的な変わり者扱いに書いているサイトがあります。(もちろん一種のジョークでしょう) しかし車でもヴィンテージ物はレトロに感じますが、 開発時から数えれば60年も続いて愛され使われていて、いつ見ても古さや新しさを感じさせずに存在し続けるテレキャスターのデザインは、正に時を超えた機能美といえるものです。

形に関して随分書きましたが、もちろん音が一番大事です。
一般的にテレキャスターのリードはシャープにパキパキと、リズムはジャキジャキなどと表現されることが多いのですが、確かに言えています。しかし大変ソフトな音も弾き方で出るのです。普通はピックアップのスイッチでフロントを選ぶと、簡単にソフトな音は出ますが、僕はほとんどリアしか使いません。

これはジェームス・バートンの教則ビデオを見て、やり方を真似しているのですが、彼はリアをリード、ミドルをリズムと決めて、ピッキングのタッチと手元のトーン・コントロールで、ハードにもソフトにも弾き分けるのです。彼の出す音も実は60年代、70年代、80年代と変わってきています。リッキー・ネルソンのサウンドのかなめだった60年代には、トレブリーでアンプの自然な歪みを感じるシャープな音でしたが、エルヴィスと共に歩んだ70年代は少しまろやかになってきました。
そして80年代から最近はロックンロールを弾く時でさえ、もっとソフトな音になってきました。この音の変遷は、ベンチャーズで有名になったノーキー・エドワーズにも感じています。

彼らは元々、ギターの神様と言われたチェット・アトキンスに、大きな影響を受けています。若いころはギンギンにロックンロールしていても、年齢が熟すと共にチェットのあの柔らかいサウンドに、どこか近づきたい思いが無意識にあるのでは、というのが 僕の勝手な解釈ですが、今度ジェームスに会うチャンスがあれば聞いてみたいものです。



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