す。




1976年、六本木の俳優座の裏にあったケントスというお店に、林ゆたかに呼ばれて行ってみると、
ドラムやギターを置いてある店で、顔見知りの連中がやはり林君から呼ばれて集まっていた。
フォークソングを歌っていた黒澤久雄、
元GS「スイングウエスト」のギタリスト山本徹、
やはり元「バニーズ」のギタリスト鈴木義之、
アイドル・シンガー出身だが実力派でスタジオ・シンガーになった槙みちる、
ハルオフォンの近田春夫などだ。


うジャズ喫茶を離れてから10年近くたっていたが、みんなプロの経験者だ。
久しぶりにジャズ喫茶ごっこをやろうよ、ということになった。
楽器を手にすると「バンド・テーマはウォーク・ドント・ランで行こう」と誰かが言う。昔よく演奏したベンチャーズの曲だ。何も打ち合わせしないで、「せぇーのっ」と弾き始めると、このメンバーでは初めてなのに、エンディングまで見事に決まった。みんなうれしくて笑顔になる。誰かがあれ歌うよと言えば、キーだけ聞いてすぐぶっつけでやっても、うまくいってしまうので、みんな大笑いで弾きまくった。
「オー・キャロル」も、「ダイアナ」も、ビートルズの曲もみんな共通体験なので、歌う人がいれば、すぐに全員が演奏出来てしまうのだ。

ンド名は黒パン(黒澤久雄のアダナ)が「ダーティーサーティーズ」と決めた。みんな30才近くなっていたので、「キタナイ30才」の洒落だが、実際はほとんど 28才か29才で、僕が一番年長の30才だった。
ウワサを聞きつけて、色々なアーティストがお客として来るようになった。
元「スパイダース」の堺正章、井上純、かまやつひろし、元「ブルーコメッツ」の井上忠夫、ロカビリーの大先輩ミッキー・カーチス、平尾昌章などという芸達者な人達が入れ代わり立ち代わり遊びに来て、呼べばステージで歌ってくれるのだ。僕はギターを弾きながらも気分はお客で、その人達の歌を同じステージに立って演奏しながら、横からながめて楽しんだ。
ある時のこと、偶然にまだ若かったエアロスミスのメンバー達が遊びに店に入ってきたので、かまわずステージに誘ってロックンロールを一緒にやったが、今では考えられないことだ。



/// ライブ・レコーディング

ある日、当時東芝EMIのプロデューサーだった新田さんがケントスに現れた。そしてダーティー・サーティーズをレコードしたいと云うのだ。
メンバーで話し合って、記念になるからやろうかということになった。
ダーティーは生演奏が良いのでライブ・レコーディングしたいが、ケントスに機材を持ち込むことは狭くて無理なので、東芝の一番大きなスタジオにお客を入れて、スタジオ・ライブにしたいというのが新田さんのアイデアだ。
当日は6時頃から、100人位のお客を入れて、お酒あり、ダンスありのスタジオ・パーティーが始まった。最初は緊張したが、すぐにいつものケントスでやっているような気分になり、メンバーもお客もみんなノッてきた。元ワイルドワンズの植田芳曉も飛び入りで、「青空のある限り」を歌うと、練習もなく全く始めての演奏がピタリと決まる。楽しくワイワイやって結局朝の4時頃、こちらもお客も疲れ切ったところでようやくお開きになった。
このレコードは2枚組のアルバムで発売され、1万セット売れたと後で聞いた。何年か前にCDに復刻されたが、数は少ないので手に入りにくい。

【ダーティー・サーティーズ/ロックン・ロール・ミッドナイト・パーティーライブ!】
 
オリジナルLPレコード発売日:1977.5.5/東芝EMI ETP-60201・2 
 復刻盤CD発売日:1995.4.19/東芝EMI 音蔵シリーズ TOCT-8911・2



残念ながら二人鬼籍に入り、現在のメンバーは下記だ。

【メンバー】
黒澤 久雄(Vocal & Guitar)
槙 みちる(Vocal)
林 ゆたか(Percussion & 時々Vocal)
鈴木 義之(Vocal & Bass )
鈴木 孝夫(Keyboard)
松山 文哉(Keyboard)
太田 収(Drums)
岡本 和夫(Guitar)
小松 久(Vocal & Guitar)


現在は1年に1〜2度、やはり林ゆたかプロデュースの六本木アビーロードで演奏している。


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